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婚前交渉

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「婚前交渉っていつ頃の時代の話なのかなあ」

大学生の若い恋人、綾子が映画を見た後に私に聞いてきた。

映画の中でそういうシーンがあったかどうか、さっと思い出せなかったんだけど、そういえば主人公の女の子の婚約が決まった時に、気難しそうな顔をしたお父さん役の俳優が

「婚前交渉とか、お前に限ってそういう間違いをすることはないと思うけど…」

とか言う台詞を言っていたような気がする(笑)。

言葉としては知っていても、映画の中にしろ実際の人が喋ってる「婚前交渉」と言う言葉は、綾子にはかなり新鮮?に聞こえたんだろう。


私の親の世代なんかだと、おそらくこの言葉はリアリティーがあったのかもしれない。

でも、不思議とこういう古風な言葉っていうのはその言葉が持っているエロチックな響きと言うものがあって、私は綾子の口から「婚前交渉」という言葉がでるとなんだかすごくエロチックなものを感じてしまった。

今の時代は、何もかもがオープンになってしまって、女性の恥じらいとか、セックスに対するためらいとか、そういうものはもうほとんどが消滅してしまった。

それはそれで、私のような古いタイプのおじさんには少し残念な気もするのだ。

でもそれは私がだんだんおじさんを通り越して、年齢的にも初老の入り口に差し掛かっているからなのかもしれない…。

まあ、いずれにしても綾子がどんな男と結婚するか知らないが、今私が弥琴していることは立派な婚前交渉だ。

まだそういう男が全然いないにしても、こんなに魅力的な綾子と結婚する男よりも婚前交渉しているっていうことは、なんだか嬉しい・・・。変な話だが(笑)。
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猥雑

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すっかり日は沈んで暗くなったのに蝉がうるさい程鳴いていたいていた。
神社のお祭りでごった返していた参詣客の人々はいなくなり、境内の中はシンとした闇に包まれていた。

昼間、神社のお札やお守りやおみくじを売っていた、巫女さんの服を着たアルバイトの女子大生たちも全員帰宅した。僕と幼なじみの芳恵は社務所奥にある畳の部屋にいた。

神に仕える巫女さんの装束を身にまとっていた芳恵は、ゆっくりと緋色の袴を止めている紐を解いた。解かれた袴は勢いよく畳の上にストンと落ちた。芳恵の豊かな胸を包んだ真っ白な白衣(しらぎぬ)が月の明かりの差し込んむ部屋の中に浮かんだ。

その白衣も脱ぐと、今度は真っ白なTシャツが芳恵の見事な巨乳を押し上げて、それはとても猥雑に見えた。猥雑だけどとても綺麗だった。

「汗で体がべとついていてごめんなさいね」

芳恵がTシャツをたくしあげると芳恵の女の匂いが部屋に溢れた。

神に仕える巫女の神聖な衣服がはぎとられ、小さい頃はよくじゃれあって遊んだ芳恵の裸が目の前にさらされている。

赤と白の巫女装束は、汗ばんだ芳恵の体臭を放ったまま無造作に畳の上に散らかっている。神聖なものが生身の女の暖かさと混じり合って、とても猥雑で神々しかった。

裕也は我慢できなくなって芳恵の乳房にむしゃぶりついた。

芳恵は小さく「あっ」という声を出したが、そのまま優しく祐也受け入れ、自分の方から腰を落としてゆっくりと畳に倒れ込んだ。

誰もいないとは言え神社の中でなぜこんなことをすることになったのか…。裕也にはいまだにそれがよくわからなかった。

幼なじみの教えとは10年ぶりに再会してから、まだろくに口も聞いてなかったと思う。

それでも、10年前に恋人同士のまま別れた芳恵と昼間神社の境内の中で目があった瞬間にこんなことになりそうな気がしていたのだった。
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